胃癌を予防する最も簡単な方法

胃癌がなくなっちゃうと外科医としては仕事がなくなってしまうのですが・・・。手術が多ければ給料増えるって訳でもないし、手術なんて受けずに済むのが何より一番なので、胃癌の予防のお話。

胃癌の原因はピロリ菌

色々な原因が言われていますが、何よりも「ピロリ菌」が一番の原因です。胃の中に住みついている細菌です。日本の胃癌の9割以上はピロリ菌が原因って言われたりもします。 胃癌だけなく、慢性胃炎や胃十二指腸潰瘍などの原因にもなる菌です。日本人全体のおよそ半分の人が感染していると言われています(高齢者ほど多い)。どんな菌か詳しく知りたい人は、wikipediaとかでも見てください。

その他、胃癌の原因として、昔から言われていることとして、塩分過剰摂取、野菜・果物不足、過度な飲酒、喫煙、ストレスや過労など様々なことが言われています。これらの多くは、一般的な癌の多くに言われていることですし、癌に限らず健康のために重要なことではあるんですが、胃癌に関して言えば、何より重視すべきはピロリ菌です。

「ピロリ菌感染を検査して、除菌する」のが一番の予防法

なので、ピロリ菌が自分の胃にいるか調べて、いるなら除菌するというのが一番単純で効果的な予防法になります。ただ現実問題としては、保険診療とのからみがあって、医者にかかっても、なかなか希望通りいかないことがあります。日本ではほとんどの人が保険診療で病院を受診しますが、保険診療では原則「病気じゃない人」は対象外なんです。 ピロリ菌に感染しているだけ(または心配しているだけ)だと、病気とは扱わないので保険が使えないんですね。 なので、厳密に言えば、症状がなければ検査も出来ませんし、感染が判明しても病気がなければ除菌も出来ません。

医師としては、全員検査して除菌した方が良いと考えている人が多いと思うのですが、全てを保険診療で行えないってこともあり、積極的に薦めにくいって状況です。

近所のクリニックを受診

原則として保険診療に従うなら、胃カメラを受けて胃炎があったら、ピロリ菌の検査をしましょうって流れになると思います。なので胃カメラ受けたくないって人にとってはお勧めしません。厳密に言えば、何かしら症状・病気がないと胃カメラも保険では出来ないのですが・・・。

「ピロリ菌を調べて欲しい!保険でだめなら、自由診療でもいいので、」って言えば対応してくれることも多いですし、保険の条件に無頓着なのか患者さん思いなのか、保険診療ですんなりやってくれる医師もいます。そこは医療施設や医師によるので、そちらに従ってください。

人間ドックを受診

人間ドックは、保険を使わない自由診療なので、希望してお金さえ払えば、ピロリ菌検査をしてくれます。検査するだけなら一番確実です。

施設によっては除菌もしてくれますが、除菌は別の医療機関を受診して下さいって場合もあります。 

ピロリ菌外来を受診するのが一番確実

おそらく一番確実・簡単なのは、「ピロリ菌外来」とか銘打ってる医療施設を受診することです。患者さんの希望や病気の有無に合わせて、自由診療または保険診療を切り替えて対応してくれるところがほとんどです。

若い人ほど、検査・除菌して欲しい

ピロリ菌は、感染するのは子供の頃だけ、しかも1回ちゃんと除菌すれば、滅多に再感染しないと言われています。極端なことを言えば、一生の間に1度だけ検査して、除菌すれば胃癌を予防できるってことになります。癌の予防としては若いうちにやった方が効果が高いという報告もありますし、出来るだけ若いうちに、検査・除菌することをお勧めします。 症状があろうがなかろうが、家族に胃癌の方がいようがいまいが、全員やるべきと考えています。

ちなみに、弱毒タイプのピロリ菌は常在菌だから除菌しなくていいって説もありますが、現時点の報告から判断する限り、除菌する方がメリット大きそうです。

もちろん、ピロリ菌がいない、除菌したからといって、全く胃癌にならないってわけではないので、ご注意ください。

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