胃癌手術と新型コロナのリスク

新型コロナ よくある質問

胃癌の手術を受けてると、やっぱり基礎疾患ありってことで、コロナの危険性が高いんですよね?

ねこ
ねこ

胃癌手術後ってだけで、リスクが高いという明確な根拠はないです。
但し、一般的に高齢の方が多いですし、化学療法中だったり、体力が落ちている場合は免疫力もおちますので、注意が必要なのは間違いないかと思います。

「手洗いしっかりしてくださいね」「お互い気を付けましょう」って、もはや季節のあいさつの様に患者さんとかわすことも多くなりました。そのついでによく外来で聞かれる話題です。実際に気にされている方も多いので、お答えします。

一般論として、がん患者さんはリスクが高い

まず、一般論として、がん患者さんは新型コロナに感染するリスクも、重篤化するリスクも高いといわれています。しかしながら、「がん患者」といっても、いろんな臓器の癌の方が含まれますし、受けている治療も違いますし、癌の状態、全身の状態も違います。 そういういろんな人たちを、ひとまとめにして「がんの患者さんはリスクが高そうだ」って報告はあります。しかしながら、実際にどんながんのどんな状態の人が高いのかとかは、まだ分かっていないのが実情です。

ただ、胃癌術後の患者さんは、一般的にご高齢ですし、食事量も減って体力も落ちている人が多いですので、普通の高齢者と同等あるいはそれ以上にリスクが高いと言わざるを得ないでしょう。但し、恐れすぎるもよくないので、正しく恐れることが重要です。

特別に注意すべき状態

明確なエビデンスがある訳ではないですが、特別注意すべき状態としては以下が考えられます。

  • 手術後で、食事量も足りず、体力が落ちている時
  • 化学療法を行っている最中。 もしくは化学療法直後
  • 化学療法後、長期間経過したが、免疫力が戻っていない状態のとき

上記に当てはまる場合は、通常以上に注意が必要と思ってください。但しあくまで一般論ですので、個人によって状況が異なります。どれくらい注意すべきか、担当の先生とよく相談することが必要です。

実際に患者さんから聞かれたこと

リンパ節や脾臓を取ると免疫力がおちるんでしょ?

胃癌の手術ではリンパ節を一緒に取ってくることがほとんどです。リンパ節は免疫に関与するものではありますが、切除するのは胃の周囲のリンパ節だけなので、全身的な免疫にはほとんど影響しないと考えます。

進行胃癌で胃全摘を行う場合に脾臓を取ることがあります。(幽門側胃切除では一般的には取りません) 脾臓に関しては全身的な免疫にも関与することが知られていますので、全く影響がないとは言えないので、注意は必要と思います。ただし、新型コロナに関して明らかなエビデンスはないと思います。

胃薬を飲んでいると新型コロナにかかりやすいって本当?

プロトンポンプインヒビター(PPI)と呼ばれる胃薬を内服しているとリスクが高くなるという報告はあります。但し、これは胃癌術後の患者さんのデータではないので、胃癌術後の患者さんにそのまま当てはめてよいのかは注意が必要です。

胃癌手術後にPPIまたはH2ブロッカーと呼ばれる胃酸を抑える薬が処方されることは多いです。術後の逆流性食道炎(噴門側胃切除の人はなりやすい)や吻合部潰瘍を予防するために出されるのですが、特にそのような症状がなければ、内服継続は不要かもしれません。また、H2ブロッカーなら、リスクは増えないようですので、胃酸を抑える効果は劣りますが、心配ならば、そちらに切り替えてみるのも一つの手かもしません。いずれにせよ、独断で判断して勝手にやめたりせずに、必ず担当の医師と相談してみてください。

もし新型コロナに感染したか? って思ったら

もし、新型コロナに感染したかもしれないと思ったら、まずは担当の先生に問い合わせるのが一番です。手術から数か月以上経過していて、特に化学療法などを受けておらず、普段の体調が特に問題ないならば、地元の病院や保健所等でも構わないと思います。

いずれの場合も、いきなり病院に行かず、まずは電話で問い合わせて、症状を伝えた上で指示を受けることが大事です。

予防は、手洗い、密を避ける、マスク

リスクが高いとしても、特別な予防法がある訳ではありません。予防の基本は、普通の方々と一緒で、手洗い、密を避ける、マスクです。また、心配しすぎるのも、健康にはよくありません。正しく恐れつつ、日常活動を続けることが大事と思います。

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