胃カメラの生検結果の説明受けるときの心構え

生検結果説明 未病

このブログでは、胃癌の手術を受ける方、受けた方への情報提供を一番の目的としていますが、その誰もが最初に通る第一の関門、「胃カメラで生検した後の結果説明」のことをお話しします。

内視鏡検査で癌かもしれないといわれて不安、生検検査って何?・・・ という方々のために、実際の胃癌の告知の流れについて、人間ドックやクリニックなどで、検診などの胃カメラの検査を受けた時を例に書きます。万が一、診断結果が「胃癌」だった場合は、この時の説明が、患者さんにとっては最初の「癌の告知」でもあり、治療の最初の選択にもなる大事なタイミングだったりするので、ある程度の心構えは必要だと思うんですよね。意外と軽視されがちだけなんですが。

胃癌の診断は、「病理診断」で決まる

そもそも、胃癌の告知の前提となる「診断」は、何で決まるかご存知でしょうか?

胃癌はご存知の通り、胃カメラ(内視鏡)検査で見つかる病気です。ちゃんと胃癌と診断するには胃カメラの検査で、組織を採取して(生検といいます)、顕微鏡で癌細胞を確認して診断がつきます。癌細胞を確認する診断を「病理診断」と呼び、この診断をもって、胃癌と「確定診断」します。経験豊富な意思であれば、胃カメラだけでもある程度判断はつきますが、あくまで「疑い」であり、「確定」となるのは病理結果を待つ必要があります。病理検査は数日から1週間くらいかかるので、胃カメラの当日に「胃癌です」って言われることは稀です。

「組織を取って癌かどうか確認します。」「念のため悪いものでないか確認します」「検査結果が出るのに1週間くらいかかります」などと、言われた場合は、癌であることの覚悟はちょっとだけしてください。あくまで「ちょっとだけ」で十分です。実際は「念のため」生検することが多いので、実際に癌と診断される方は、生検を取った方の数パーセントに過ぎません。また、例え癌であったとしても、1週間待たされることで手遅れになるなんてことはほぼ無いので、過剰な心配はいらないと思ってください。

病理結果説明当日

病理結果の説明の当日だけは、ちょっとだけ、覚悟して臨んでください。内視鏡担当の先生の言い方が妙に重々しかったかとか、自分では受け止めきれるか不安って時は、ご家族と一緒に結果を聞きに行くこともお勧めします。

病理結果で癌でなければ、「問題ありませんでした」「胃炎という結果でした」と言われ、「また1年後にでも胃カメラは受けてくださいね」なんて言葉で診察終了です。もちろん胃カメラの見た目で癌が疑われる場合とか潰瘍がある場合は、1か月後とか3か月後にもう1回なんて言われることもあるかもしれません。

病理結果で癌細胞が認められれば、「悪い細胞がありました。」「がん細胞が認められました」「胃癌と診断します」みたいなことを淡々と言われることが多いです。「がん」「悪性腫瘍」「悪い細胞」「悪性所見」 いろんな言い回しがありますが、全部同じ意味です。多分、いきなり「あなたはがんです」と言われ、ショックを受けてそれどころじゃないって状態のところで、今後の検査の話とか、クリニックであれば病院紹介の話が矢継ぎ早になされることが、ほとんどだと思います。

告知は治療の第一歩

ここまでの流れをみて、どう感じたでしょうか?  「癌の告知」というと、テレビドラマとかのイメージからすると、たいへん仰々しい雰囲気のもと行われると想像するかもしれませんが、意外とあっさり淡々と語られることが多いようです。患者さんによって「いきなり がんと言われショックだった」「もうちょっと優しく話して欲しかった」という方もいれば、「淡々と言われて、自分も冷静になれた」「はっきり言われた方が治療に向き合えていい」という人もいます。

以前は、本人への告知を行わないことも多かったのですが、最近では本人に告知することが当たり前になってきました。もちろん、ご本人が受け止めきれないと判断する場合や認知症など本人が判断できないという場合は、その限りではありませんが。 必ずしも「不治の病」という訳ではないので、ご本人がしっかり病状を把握して、前向きに今後の治療に臨んでいくための第一歩でもあります。 

胃癌と言われた時のチェックリスト

告知が必要とはいえ、告知される側にとってはショックなものはショックなわけで、頭真っ白でその前後の記憶がないなんて人もいます。「聞きたいことはありますか?」なんて言われても、何を聞いていいのやら・・・。 この段階で確認しておきたいことをチェックリストにしてみます。

診断の内容

まずは、どのような診断だった確認しましょう。 内視鏡の見た目だけなのか? それとも病理結果によるものなのか? また、この段階で進行具合はどうなのか?

診断の確からしさ

普通は「胃癌です」って言われる場合は、病理結果に基づくものと思いますし、ここまでの文章もそれを前提にしています。 時折、紹介されてくる患者さんで、「すぐ大病院で精査したほうがいいいって言われました。癌なんですよね!?」とご本人はとても心配しているのですが、実は「胃癌の疑い」で結果的には胃癌ではないって方もいらっしゃいます。というのも、人間ドックなどでは、生検による病理検査が出来ないとか別料金だったりとかするので、胃カメラの見た目だけで悪性を疑って精査依頼ってこともあるんです。 癌の診断はあくまで、胃カメラで組織を採取して病理検査することで決まります。

なので、「胃癌ってことは確かなんですよね?」と確認するとよいでしょう。

進行度合い

続いて確認すべきは、癌の進行度合いです。 胃癌の進行度、いわゆる「ステージ」を決めるには、通常は胃カメラに加えてCT検査を行う必要がありますので、胃カメラだけでは正確なことはわからないと思ってください。ただ、「早期癌か進行癌か」くらいは見た目である程度判断できるので、聞けば教えてくれると思います。

今後の治療内容

重要なことは、今後の治療をどうするかです。 もちろん細かい検査をしてみなければわからないというのが答えだと思いますが、 「内視鏡でとれそうか? 手術になりそうなのか?」 くらいは聞いてもいいでしょう。 治療内容によって、どこで治療を受けるべきかも変わると思います。

どこで精査・治療をするか?

さらに重要なことは、どこで治療を受けるか? です。大きな病院とかであれば、そのまま精査を進めて、治療へ進むことになりますし、場合によっては「外科を改めて受診してください」ってなることもあるでしょう。

人間ドックやクリニックでは、通常はどこかの医療施設に紹介って流れになります。特に希望がなければ、その担当医がおすすめしてくれる病院への紹介ますので紹介状を書きますね。ってなるのが、ほとんどかと思います。

もし、あなたが別の病院で治療を受けたいと思っているなら、この段階で担当医に伝えることをお勧めします。 お世話になっているからとか、遠慮する必要はありません。担当医が薦めているのは、単に自分の縁故のある関連の施設ってだけのこともあります。あなたにとって最適を選んでくれたとは限りません。 「胃癌なら〇〇病院にかかりたいと思ってたのですが、先生はどう思います?」って聞けば、あまり角が立たずに済むと思います。 また、じっくり調べたい、考えたてから結論を出したいならば、後日紹介状の宛先を変えて書き直してもらうことも可能ですし、「家族とも相談したいので、また受診させて欲しい」といえば、そう配慮もしてくれます。

過剰な心配はいらないけど、心構えだけはしておこう

ざっくり、生検結果説明当日の流れを書きました。心構えがないと、「ある日突然癌といわれ、よくわからないまま気が付いたら、見知らぬ病院あてに紹介されてた」ってことになりかねません。

もし、この文書を読んでいる方が「生検結果待ち」ならば、癌でないことをお祈りいたします。ただ上に書いた通り、生検した人で癌といわれる確率は全体では数パーセントです。過剰な心配は不要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました